逆境を越える心の技法

逆境を越える心の技法   G0627b+ 【L】

「人生で起こること、すべて良きこと」 田坂広志 より

〇逆境に正対

人生において、「逆境」に直面した時、心の中で「人生で起こること、すべて良きこと」と思い定めると、必ず道は拓ける。それは、逆境に「正対(正面から向き合う)」する力が湧いてくるからだ。
この言葉は、逆境を越える“究極の言葉”だろう

なぜ、我々は逆境に正対出来ないのか?
それは、逆境に直面した時、「なぜ、こんなことになってしまったのか・・・」という過去への後悔、「これから、どうなってしまうのか・・・」という未来への不安に、心のエネルギーの大半を使うからだ。
今、自分の人生に起こった出来事が直ちに良きことと思えなくても、その出来事には「深い意味がある」と、逆境を前向きに捉えて思い定める。 ⇒ 「逆境観」
その感覚こそが、逆境を越える「こころの技法」を身につけていくための出発点なのだ。
「逆境」とは、自分の可能性を引き出してくれる素晴しい“成長の機会“だととらえること。逆境という人生の分かれ道で、「運命」を分けるものは、起こったことをどう“解釈”するかが我々の人生を分ける。⇒ 「解釈力」

〇「引き受け」が人間の本当の“強さ”をつくる

人間としての本当の強さとは、「引き受け」ができるということだろう。
引き受けとは、本来、他人に直接の責任があることでも、自分の責任として引き受け、それを自分の成長に結びつけようとする心の姿勢のこと。

〇人生は大いなる何かに導かれている

日本人の中には「人生は、大いなる何かに導かれている」という感覚が、自然に根付いている。
この感覚が持てると、“人生で起こること全てに深い意味がある”と思い定めることができるようになり、不運や不幸と思われる出来事が与えられた時に、その出来事に正対することができる。
そして、正対すると、心の奥から“静かで賢明な(もう一人の)自分”が語りかける声が聞こえてくる。

〇感謝の言葉を発すると、エゴが静まる

起った出来事を心に浮かべ、ただ「有難うございます」と祈ることで、不思議なほど心の中のエゴの叫びが静まってくる。
心と言葉は「心身一如」の関係にあり、次の理(ことわり)がある。
・「心」が「言葉」を発するのではない
・「発した言葉」が「心」を変える

〇生死体験が人間を大成させる

大病などの「生死体験」をした際は、生死観を掴むことが重要で、死を見つめ、人生をどう生きていくかという覚悟を定めることで、逆境を越える力が湧いてくる。
大成するには、「戦争、大病、投獄のいずれかの体験を持たなければならぬ」という昔からの格言がある。

 

「人間、いつ死ぬか、分からない」という人生の真実を直視すれば

「今を、生き切る」という姿勢を身につければ、逆境を越える力が湧いてきて、直観が鋭くなる。
生死観を掴むと、心の中に「使命感」が生まれてきて、覚悟を定めると、自分に与えられた命の大切さに気がつく。そして、そのかけがえの無い命を、何に使うかを真摯に考え始めるようになり、次のような・・・
・与えられた命、かけがえの無い命を素晴らしい何かのために使いたい
・己一身のためでなく世の中のために、多くの人々のために使いたい
意識が深まっていくと、それは自然に使命感になっていく。使命と書いて「命を使う」と読む。

使命感を抱くと、私心や自分中心の発想が消えていき、直観が鋭くなる。
『「直観」は過たないが、過つのは「判断」である!』 ・・・ という、名言がある。
ある意思決定において、最初に何か直観が働くが、その後、情報を集め、論理的に考えていくと、最初の直観とは異なる判断が生まれてくる。その判断に基づいて進むと、結果として意思決定を間違ってしまう。
その判断が過つのは多くの場合、「こうしたら自分に有利だ」といった私心が働くからだ。逆に私心が消えていくと、直観が鋭くなる。

☞  直観は過たないが~ copy