ドキュメントの必要性

ドキュメントの必要性とWBS ~ 文化をつくる   I0930a-H0331b

なぜ、ドキュメントが作れないのか
一般的(中小企業)には、以下のような点が問題(言い訳)になりがちですが・・・

(a) 時間がない
・プロジェクトが並行して複数進行している
・予算(工数)が少なく時間がかけられない
・無理して受注(請負った)案件でもあり、もともと納期が短くて残り時間が少ない
(b) 人員が足りない
・メンバーが複数のプロジェクトや役職を兼任している
・余裕をもって要員を雇えず常にギリギリの人数である
・メンバーが一人でも欠けた場合には、大きな影響がでる
(c) 技術力がない、知識がない
・技術力のある人が社内にいない
・社内にドキュメントを書く力が蓄積されていない
・どのような種類のドキュメントをいつ・どのように作るべきかという知識がない

ドキュメントの種類と優先度
分類してみると・・・
・「契約上絶対に顧客に提出しなければならない」 “必須”な成果物に含まれるもの
~ 提出しないと代金が支払われないなど、プロジェクトの完成に関わるもの。
・人に指示する(伝える)ために有効であり“役に立つ”、開発プロセスでは必要なもの
だが、必須ではないドキュメントは、省かれて作られないことが多く見うけられます

① 優先度が最も高いのは、「必須かつ役に立つ」ドキュメントです
② 次に優先されるべきものは「必須ではないが役に立つ」ドキュメントです
“役に立つ”ドキュメントは、プロジェクトの時間を短縮し、作業の進行を助けてくれるものだからです。 … プロジェクトに余裕が生まれ、他の作業にも良い影響を及ぼします。
⇒ この種のものは、顧客のためではなく、自分達のためのドキュメントといえます
~ プロジェクトで一番大事なことは、「プロジェクトに問題が起こらなくて、無事に納品できること」なので、自分達の作業をスムーズに進めることは、有効・有益なことになります。
③ 間違いやすいのだが、最後が「直接的には役に立たないが必須である」ドキュメントがあります
~ これを二番目に優先されるべきドキュメントとしてしまうことです。
これは、足を引っ張るドキュメントとも言えるもので、提出が求められていれば優先度を上げますが、不要なドキュメントを作ることになってしまいます。
⇒ ドキュメントを求めない顧客に関しては、「必須ではないが役に立つ」ドキュメントがなおざりになりがちなもので、注意しなければなりません。

WBSで解決する ・・・ WBS (Work Breakdown Structure)

WBSは、システム開発プロジェクトの目標や作業範囲(プロセス)を“要素”に細分化し、それらを完成(達成)することで、目標(プロジェクト)を達成していくものです。
最終的には構築システムの“成果物”と、さらに“要素成果物”と“活動”として記載されます。

⇒ ドキュメントを作るべきタイミングやその内容を明確にしておくためにもWBSは有効かつ必須となるものです。

ドキュメントは成果物として必要なもの

“ドキュメントが無い”ということは、「プロジェクト作業(開発プロセス)が実施/完成されたかどうか」を判定出来ないので、品質を保証することはできません
… 不確実なシステムを納品・稼働させても動作が保証されるハズがなく、必ずトラブルが続発するでしょう

■ 自分たち(組織)のシステム開発“文化”をつくること ・・・ 大事なこと!

「WBSをもとにドキュメントを作る」ということは、永続可能な(システム開発の)事業基盤をつくりあげて、継承していく「文化」をつくることになります。
組織の一員として会社(事業)を良くしていこうという意識を育て、習慣化していくことでもあります。