「ライフシフト LIFE SHIFT」
「ライフシフト LIFE SHIFT (100年時代の人生戦略)」 H0714a 【V】
リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット共著 池村千秋訳
長寿化が進み、人が100歳を超えて生きるようになった時、私たちの人生のあり方はどのように変わるのか。
〇「100年ライフ」の到来により、人々は老後の生活資金の問題に直面する。100歳以上生きる世代は、それまでの世代と同水準の公的・年金を受給できない可能性が高い。よって現在の勤労者のように65歳で仕事を引退すると、その後の人生を経済的に支えられない。
〇寿命が延び、長期間働くようになると、次のようなステージを経験する人が増える。
・エクスプローラー(探検者)
1カ所に腰を落ち着けるのではなく、身軽に動き続ける。
旅をすることにより、世界がどのように動いているのか、自分にとって何が重要か、といったことについて新たなものを発見する。
・インディペンデント・プロデューサ(独立生産者)
新たなビジネスを起こしたり、企業と新しいタイプのパートナー関係を結んだりして、経済活動に携わる。
・ポートフォリオ・ワーカー
様々な仕事や地域活動などに対し、バランスを取りながら同時並行で携わる。
〇100年ライフの恩恵を最大化するためには、次のような変化が求められる。
・人生をマルチステージ化する。
例えば、金銭面を重視した労働を行なったり、社会貢献を軸に生活を組み立てたりして、生涯に複数のキャリアを持つ。
・余暇は、新しいステージに向けて自分を「リ・クリエーション(再創造)」するための投資の時間とする。
・夫婦両方に所得がある方が、家計や貯蓄の面で有利なため、2人とも何らかの仕事を持つようにする。
■新しいステージ
人生が短かった時代は、「教育→仕事→引退」という3ステージの生き方で問題なかった。しかし、寿命が延びれば、「仕事」のステージが長くなる。引退年齢が70~80歳になり、長い期間働くようになるのである。
そして、人々は生涯にもっと多くのステージを経験するようになるのだ。
・エクスプローラー(探検者)
・インディペンデント・プロデューサ(独立生産者)
・ポートフォリオ・ワーカー
このステージは、生産活動に携わる期間のいつでも実践できる。
この生き方にとりわけ魅力を感じるのは、企業幹部のような、すでに人生の土台を築いた人たちだろう。
所得の獲得を主たる目的とする活動、地域コミュニティーとの関わりを主たる目的とする活動、趣味を究めるための活動など、様々な活動のバランスを主体的取りながら生きようと考えるのだ。
スキルと人的ネットワークの土台が確立できている人にとって、この高い価値を生み出せるステージは有効な選択肢になる。
■100年ライフで何が変わる?
・人生はマルチステージ化する
100年ライフでは仕事のステージを長くするしかないが、長い年数働き続けるのはあまりにも過酷だ。
そこで、3ステージの人生に代わって登場するのが、生涯に複数のキャリアを持つという「マルチステージの人生」だ。
まず、金銭面を重視して長時間労働、次は家庭とのバランスを優先させたり、社会への貢献を軸に生活を組み立てたりだ。
・変化が当たり前になる
マルチステージの人生が普通になれば、私たちは人生で多くの”移行”を経験することになる。
・レクレーションから「リ・クリエーション」へ
人生で多くの移行を経験し、多くのステージを生きる時代には、投資を怠ってはならない。
新しいライフスタイルを築くための投資、新しいスキルを身につけるための投資が必要だ。
マルチステージ化すれば、生涯を通して投資が行われ、従来は余暇とみなされていいた時間も、使われるようになる。
人生が短かった頃は、余暇はもっぱらリラックスのために用いるのが理にかなっていた。
だが、人生が長くなれば、余暇は新しいステージに向けて自分をリ・クリエーション(再創造)するための投資の時間だ。
・家庭と仕事の関係が変わる