業務知識の重要性 (Nの流儀)

業務知識の重要性   ©NAMBU2017   N3 E.H0522

企業向け情報システムを開発するには ・・・

□対象企業のビジネスを知ること

業務の効率化や改善のためだけではなく、事業(企業活動)そのものにかかわる様々な課題や要求にこたえる必要があります。
企業の競争優位を左右する戦略的な情報システムの構築が望まれており、環境の変化への対応はもちろん、公開企業としての取組みも必要となります。

そのために必要なことは、
上流工程を担当するSEは、コンピュータやインターネットなどの技術や知識(IT)はもちろんのこと、ユーザ企業の業務内容や業界動向についても把握しておかなければ、顧客の役に立つ(満足してもらえる)システムの設計・開発は出来ません。
しかしながら、業務知識や業務ノウハウは簡単に一朝一夕に身に着けることは難しいものです。

□業務知識と一口に言っても...

*業務とは、
企業が経営資源(ヒト、モノ、カネ)を使って、販売や生産などの機能を果たす企業活動そのものが、“業務”と言えるでしょう。

*業務知識とは、
・企業活動を、確実に効率的に行うためのノウハウや知識そのもの
・企業経営に必要な業務におけるルールやノウハウ

*SEが業務知識を理解していないと、大へん困りますネ~
・正確にユーザニーズが把握できない
効果的なヒアリングが出来ないと、ユーザニーズを正しく聞きとれません。
ヒアリングには良好な人間関係が必要ですが、相手との共通の知識基盤(業務知識)があれば、「そうなんです、そうなんですヨ」と親近感が醸成されやすいものです。
【 誰でも経験したと思いますが、参考までに~】 初対面の時の印象は、人が考えている以上に影響力があると言われています。自分が関わっている仕事の内容に興味をもって踏み込んでくる人には、悪いイメージは持ちません。自分の仕事を理解してくれる人には親近感をもって接してくれることで、信頼関係が早く築けるようになります。
・限られた時間で、効果的なヒアリングを実施するためには、
各業務の一般的、標準的な内容から想定されることがらをもとに、チェックリストを作成しておくことが重要なことですが、それが出来ないと話になりません。
・業務改善等の提案など、出来る筈がありません。
・ヒアリング/分析~要件定義や設計に時間がかかるし、品質は保証できない。
・経営者との会話では必須となることだが、業務全体を包括した視点での提案や判断が出来ない。
・システム全体としてのバランスを考慮した判断が必要な場合には、業務知識に裏付けされた“直観力”が必要となります。

⇒ ひいては業務知識不足が、ユーザに不信感を抱かせることになります!

□業務知識の必要性、・・・整理すると

*システム全体に関わること
・現状分析や情報収集をもれなく推進するために
・業務の改善/標準化を提案するために
・見積りの精度を高め確かなものにするために
・要件や仕様の漏れを防ぐために、分かりやすく説明し共通認識のズレをなくすために、運用までを考慮した設計を行うために
・顧客に納得/理解してもらうための説明をするために
・開発計画/スケジュールをつくるために

*ヒアリング~要件/設計打合せなど
・お互いの理解が早まり、親近感が醸成されるとともに信頼関係が築かれる
・打合せ時間が計画通りに終了し、スケジュール遅延を引き起こさない
・その結果として、その企業特有の業務についても詳しく掘り下げることができる

□ 業務知識の有用性、・・・ SEにとって大事なこと

*陳腐化しない知識・技術
・業務知識は陳腐化しないし、それを深めていくことで相乗効果が期待できる(多面的なものの見方や、アイデアの引き出しが増えてくる)
・新しいビジネスモデルの提案や、IT技術の新しい応用法などの、ソリューション開発には不可欠で、その内容についての見極めが的確に出来るようになる

*プログラムや仕様書がなくても同じものがつくれるものだ ~【 こんなことも出来るという事例としての余談 】
プログラム(ソース/オブジェクト)はもちろん仕様書も無く、どのように作られているのかを誰に聞いても何もわからない状態のプログラム(複雑な業務帳票)を、日々の業務データ(実際の運用画面/帳票結果)だけから創り出すことも出来るものです。
これは、業務の本質まで詳しく理解していたからこそ出来たのだろう(実際に私が経験したことですが)。
実際にユーザの業務担当者/責任者からも、システム部門からも、そんなことが出来るわけがないと言われていたものだったので、正しい結果を見せても信じてもらえなかったことがあったことを今でも覚えています。

memo: 業務知識の学習について _N3 ©NAMBU2017   E.H0522